2016年8月17日水曜日

特殊相対論の時空

ガリレイ力学では、絶対時間、絶対空間が存在その中を物体が運動します.

物体が, この空間内で設定されたある慣性系で $(t,x)$から$(t+dt, x+dx)$まで動くとき, 別の慣性系から見ると,  $(t,x')$から$(t+dt, x'+dx')$となり, 時間に関してはどの慣性系でも共通になります.

特殊相対論では時間と空間それぞれは絶対ではなく, それらを合わせた時空が絶対的存在でその入れ物の中を物体が運動することになります. ある慣性系で事象$(t,x)$から事象$(t+dt, x+dx)$まで運動したとします. もちろん, この事象点は無限に多くの等速運動する慣性系では変化しませんが, 座標の値は変化します. つまり, 別の慣性系でみると事象$(t',x')$から事象$(t'+dt', x'+dx')$まで運動します. この時, 時間の座標値も異なっているのがガリレイ力学との大きな違いです. 特殊相対論の場合, 時空間隔$di$は
\[di^2 = c^2t^2-x^2-y^2-z^2 =  c^2t'^2-x'^2-y'^2-z'^2  \]
で表され, どの慣性系でもこの時空間隔$di$が一定になるように時間と空間が混じり合います. つまり, 特殊相対論では異なった速度で運動する慣性系では時間と空間の混じり方が違っています. これらの系の間での混じり具合の変換式がローレンツ変換式で, この時空間隔$di$を一定にします. この特殊相対論の時空をミンコフスキー空間とよびます.

重要なのはこの間隔を持つ空間は, どの慣性系においても光速$c$が一定になるように作られていることです.